数十年前、アップルはデスクトップコンピューターの低価格市場を無視したことがある。この過ちで同社は倒産寸前にまで追い込まれた。同社はそれをモバイル分野で繰り返したくないと考えている。だが、23日に発表された新型タブレット端末iPad
mini(アイパッドミニ)は同社に多大な成果をもたらすほど安くない。
ストラテジー・アナリティクスの推定によると、2012年第2四半期のタブレット市場におけるアイパッドのシェアは68%だった。しかし、アイパッドよりも小型で安いタブレット、例えばアマゾン・ドット・コムのキンドル・ファイア、グーグルのネクサス7、それに韓国サムスン電子のギャラクシー・タブといったタブレットがアイパッドの売り上げを侵食し始めている可能性がある。
アイパッドミニが発表された23日のイベントで、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、販売したアイパッドの数が2、3週間ほど前に1億台を突破したことを明らかにした。これは7-9月期に販売したアイパッドの数が1600万台を下回った可能性があることを示唆している。
これは4-6月期の1700万台を下回る。消費者はアイパッドミニの発売を期待し、現行のアイパッドを買い控えた可能性がある。理由はどうあれ、これはアナリストたちを満足させないだろう。アナリストたちは、アップルが25日の決算発表時にアイパッドの販売が増えたと報告するのを期待しているからだ。
またアイパッドミニの価格は、329ドル(約2万6300円)で、ライバル端末に向かいつつある低価格志向の消費者を引き付けるには高過ぎる可能性がある。ネクサス7とキンドル・ファイアの価格はこれよりずっと安い199ドルだからだ。アップル株価は、329ドルというアイパッドミニの価格が発表されると、直ちに2%下落した。
この高い価格はアップルのタブレットの粗利益率を高水準に維持させるはずだ。クレディ・スイスのアナリスト、クルビンダー・ガルチャ氏は、同社のタブレットの粗利益率が40%前後だと推測している。アマゾンがタブレットの販売でほぼ収支トントンの状況にあるとみられるのとは対照的だ。
だが他方で、アップルのエコシステム(デベロッパー、ベンダー、ユーザーなどが有機的に結びつき、共に成長していく収益モデル)に係わる消費者が増えるのであれば、利益率を犠牲にする価値があるかもしれない。アイパッドを購入すれば、消費者は携帯電話のiPhone(アイフォーン)やパソコンのMac(マック)の購入に傾く可能性がある。例えば、携帯音楽プレーヤーのiPod(アイポッド)はユーザーの音楽ライブラリーをiTunes(アイチューンズ)に移させたが、これはアイフォーンが発売された際、ユーザーのアイフォーンへの乗り換えを促す効果をもたらした。
これらの製品を数年ごとにすべて買い直すことを考えると、消費者をアップル製品に慣らすのは同社にとって理にかなう。しかし、価格の高過ぎるアイパッドミニでは、同社製品を消費者層のより深いところにまで浸透させられない公算が大きい。
スマートフォン(多機能携帯電話)でも、アップルは似たような問題に直面している。同社は現在、グーグルの基本ソフト(OS)アンドロイドを搭載する安価な端末に市場シェアのかなりの部分を明け渡している。
新興国の消費者は、アイフォーンのような高級スマホに手が出ないことが多い。アイフォーンの卸売価格は600ドルを超えている。こういった新興国の通信会社は通常、スマホ代の補助(販売奨励金の提供)を行わない。顧客の支払う料金が、例えば米国の顧客がデータ通信や音声通話のために支払う料金とは比較にならないほど少額だからだ。
前出のガルチャ氏は、500ドルを超えるスマホの市場規模が2015年に1億9400万台になると予想している。アップルは旧式のアイフォーンの一部を値下げして販売しているが、最大市場である低価格市場にはまだ対応していない。
同氏はまた、15年時点の200~400ドルのスマホの販売台数が3億1500万台になると予測する。成長を促すにはこの市場への対応が間もなく必要になる可能性がある。14年までに、アイフォーンは、世界で高級スマホの顧客を相手にする大半の通信会社の手で販売されるようになるだろう。
アイパッドミニをもっと安くすると、アップルの利益率の高いモデルの売り上げが侵食される恐れがある。だが、同社が忠誠心の高いユーザー層をもっと多く獲得できるのであれば、それは試す価値のあるリスクなのかもしれない。
Googleから発売中のNexus7の低価格版が8000円前後で年内発売されるようだ。まだ正式発表はないが、この情報が正確なことを祈り暫くは、ホットなタブレット端末販売戦争を見物してみたいと思います。
出きれば、SONY、SHARPなどの国産メーカーに低価格帯のタブレット端末が登場すれば心は動く。
SAMSUNGの端末や製品は購入したくない。
Windows8搭載のMicrosoft直販のタブレットも400ドルを割って販売されるようです。これも推移を見守りたい。
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